フランスから同じ記事を見てみると、日経とは少し違う面が見えてきました。まずは日経。
下記日経2月26日付日経
味の素は、欧州で家畜の飼料用アミノ酸を手掛ける子会社、仏味の素アニマル・ニュートリション・ヨーロッパ（AANE）の全株式を、発酵技術開発の仏メタボリックエクスプローラーに売却した。
売却金額は1500万ユーロ（約18億9000万円）。飼料用アミノ酸は汎用品化が進み、収益性も将来的に低下すると判断。高収益事業にシフトする。
これにより、味の素は売却に伴う減損損失などを2021年3月期にその他の営業費用として130億円計上するが、今期の業績予想には織り込み済みとしている。味の素は中期経営計画で収益性が低い事業を中心に縮小を進める方針を掲げており、動物栄養事業も縮小対象だっった。
さて、フランスサイト側からのこの買収についての記事がいくつかあったので、まとめてみます。
METabolic EXplorer社(代表者：Benjamin Gonzalez)以下 METEXはクレモン・フェルラン近くのSaint-Beauzireに本社をおくバイオケミカル企業で、石油系化学から、植物系化学への変換を目標に、自然由来の原料を使う醗酵プロセスから、アミノ酸をはじめとした機能性成分を製造している1996年創業の中小企業である。
この会社のサイトを見ると、石油系化学で作り出されている製品を、植物由来の原料からの製品に発酵というプロセスを使って生産される機能性成分を使って置き換え、資源を有効に使うためのバイオケミカル企業としての取り組み方が、ヴィデオで説明されています。
味の素は、高度なアミノ酸生産技術を、農業国フランスにおいて、飼料生産に使ってきたわけですが、METEXは飼料だけではなく、化粧品やアパレル製品の中の石油由来の原料を植物由来の原料に置き換えることを目的にした、機能性成分を生産することを生業としている企業です。
クリーンな方向へ。時代はやはり、一つの方向に向かっていることを感じますね。
さて、本題に戻ります。
METEXは、高付加価値市場で機能性成分を製造するためのバイオプロセスの開発に関する専門知識を有し、創設以来R＆Dに9千万ユーロ以上を費やし、特許取得済みの発酵菌株の開発をしてきた。
2016年にエボニク社（EVONIK）へ「L-メチオニン」を4,500万ユーロ売上げ、100％天然アミノ酸ビジネスでは、ヨーロッパで最大ビジネスに数えられる。
また2018年に、BpifranceのSPIファンドと合弁事業であるMETEXNØØVISTAを創設、PDOとBAの年間生産能力6 ktの生産ユニットを建設するために4,800万ユーロを資金調達し、プロジェクトは現在進行中である。
今回の味の素アニマル・ニュートリション・ヨーロッパ（AANE）の株式100%買収によって、現在METEX社のALTANØØVプラットフォームで、開発中の技術をアミアンサイト（AANEサイト）に移行させ、アミアンサイトの存続と同サイトの雇用の存続を行い、同サイトで1年に1商品を工業生産化することを目的にしている。
AANE社を買収することで、METEXが得られるものとしては、
• 発酵および抽出/精製の最新技術を備えた高度に自動化された製造インフラストラクチャ
• 応用研究開発から500m³の発酵槽を使用した発酵プロセスまで、幅広いスキルと経験を持つチームが提供するバイオプロダクションの分野における独自のノウハウ
• 動物栄養市場と一流の流通ネットワークの専門知識を持つ営業部隊
• ヨーロッパ、アフリカ、中東の領土における動物の栄養に不可欠なアミノ酸の独占的ライセンスに基づく包括的な技術ポートフォリオ
• 価値創造産業プロジェクトのための完全な補完性
である。
ちなみにALTANØØVサイトは、化粧品、動物飼料、生体高分子（バイオポリマー）の市場に対応しており、市場価値は160億ユーロ。
具体的には2021年末までに、METEXの天然グリコール酸に関するアミアンサイトへの投資が予定されている。
現行アミアンサイトで生産されている主なアミノ酸は、リジンだが、新たな商品の生産導入をすることで、価格変動リスクを軽減したいとしている。
またアミアンサイトで生産される新たな商品の発売、販売には、上記したようにAANE社の販売力と販売網を使い、AANE社で行われてきた研修を継続することにより、新たな技術と新商品の導入がすべての従業員の能力開発プランと伴ったものとなるとしている。
中期的展望として、成長中の市場におけるMETEXグループのこの多様化戦略の成果として、年間売上高は2億5,000万ユーロ超＝約326億7,546万7,259円 （2021年4月27日のレート）EBITDA7％を見込んでいる。
買収額は1500万ユーロ（約19億6,052万8,036円 本日のレート）
味の素、損したんでしょうか？ 儲かったのでしょうか....？
ニュースソース；Process Alimentaire Actusnews Wire
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