2025年リリース予定の仏製FCV車、HOPIUM Machinaの話題をお届けしたいと思う。
「オピウムHOPIUM」は2019年に、20歳で、ル・マン24時間レースを最年少制覇した元レーシングドライバー、オリヴィエ・ランバーによって設立されたFCVメーカーである。
2021年現在、フランスで販売されている普通車の燃料電気車(FCV)は、Hyndai Nexo 79,900 €と新型 TOYOTA Mirai 67,900 €の2モデルのみ。
この2モデルに2022年からBMW ix5 、2025年からHopium Machinaが参入予定というのが、燃料電気車をめぐるフランスの現況である。
ちなみに2022年発売予定のBMW ix5はトヨタの燃料電池を使用予定。
このHOPIUM社のマッキナと他社のモデルとの違いは、マッキナはフランス初のハイスペック高級スポーツカーであると言う点。
高度AIとブロックチェーンコンポーネントを搭載し、デザインにはポルシェの元デザイナーを起用、材料も一流メーカーと契約を結んでおり、価格帯は120,000ユーロからと、現在フランス市場で販売されているの上記2モデルに比べ、約1.5倍から約1.7倍高くなっている。
2021年春に1000台限定で予約受注をスタート、予約開始から約10日で予約数を達成。(ただし予約金は400ユーロ程度で高額ではない。)2025年から生産を開始し、2026年納車を見込んでいるが、完成までにさらなる融資が必要であるとしている。2030年からは年8,000台程度の生産見込み。
このFCVの背景になっているのは、もちろんのことながら、脱炭素化への動きで、欧州委員会は7月14日付けで、環境対策政策パッケージ「Fit for 55」を発表し、乗用車・小型商用車(バン)の二酸化炭素(CO2)排出基準に関する規則の改正案を提案した。
COP26でも30カ国が2040年までに内燃機関車を禁止する宣言に署名したが、その中に米、中、日本、ドイツ、フランスなどの主要国はなく、道は平坦とはいえないが、方向性としては、脱炭素化に向け、世界は同じ方向を向いていると言えよう。
また、欧州委員会は新規則案で、加盟国は電気自動車(EV)1台につき1キロワット(kW)の充電能力が必要として、これを計算ベースにしてEV登録台数に応じて充電ポイントの目標設置数を算出した。この計算に基づき、出力300kW以上の急速充電ポイントを、主要高速道路上に最大60キロ間隔で、また、水素充填ステーションと大型トラックやバスなど電気重量車用の出力1,400kW以上の充電ポイントを、それぞれ150キロ、60キロ間隔で2025年までに設置すること、最終的には、2030年までに充電ポイントを350万基程度まで増やすことを目標としている。
話をHopium Machina に戻そう。
2021年6月に同社は初のモデル、Machinaアルファ0を発表。発表されたモデルは500馬力、自社製の燃料電池搭載、航続距離1,000km、最高速度230kmと、航続距離で現行商業ベースのFCVモデルを大きく引き離している。(現行モデルの平均は500 – 600 km。ただし、Toyota新型MIRAI は2021年航続距離1000kmを達成している)
高級スポーツカーを目指しているだけあり、上記したように、デザインには、ポルシェやテスラのデザインを手がけたカーデザイナー、フェリックス・ゴダーを起用、水素タンクは仏プラスティック・オムニウム社製のものを3基搭載、3分での充填が可能だ。
またガラス部分は 車窓ガラスメーカーとして世界的に有名なこちらも仏メーカー、サン・ゴバン・セキュリット社のものを使用予定。
テクノロジー面では、自動運転レベル4、最新AI搭載、かつ最先端のソフトウェアを組み込み、このオンボードテクノロジー確保のためにブロックチェーンコンポーネントを搭載。
驚くことに、このブロックチェーンコンポーネント製造のために、同社は2021年、アメリカ・カルフォルニアにブロックチェーン会社UNAを設立、燃料自動車のブロックチェーンエコシステム構築のパイオニアになることも目標としている。
ブロックチェーンは、様々なUXソリューションを提供できる。
例えば、車両の使用状況を記録し、排出量の検証、定量化、および車が環境に与える影響を記録し、環境保護に役立てることが可能である。また、生産ラインにおいても、ブロックチェーンに記録することで、製造前から、完成品に至るまでのサプライチェーンを明瞭化し、環境に優しい製造プロセスを構築することで、高品質な製品を生産することができるほか、メンテナンスにも使用できる。
ではFCVを走らせるための水素充填ステーション計画についても少しみていこう。
燃料の水素充填に必要な水素ステーションは、自社では行わず、フランス政府の水素ステーション計画に依存。
2023年までに100基、2028年までに400-1000基の設置計画があるが、現状はまだまだ左図にあるように目標からは遠い。
燃料電池車とは
最後にFCV(燃料電池自動車)とは何かを説明したHPがあるので、そちらから引用したい。
FCVとは、燃料電池で水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを使って、モーターを回して走る自動車で、ガソリン内燃機関自動車が、ガソリンスタンドで燃料を補給するように、燃料電池自動車は水素ステーションで燃料となる水素を補給して走る。
水素を直接燃料として使用する直接水素方式のFCVの場合、走行時に発生するのは水蒸気のみ。
大気汚染の原因となる二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、浮遊粒子状物質(PM)はまったく排出されず、 また、ベンゼンやアルデヒドなどの有害大気汚染物質の排出もない。
また、エネルギー効率がとても高く、現時点で、ガソリン内燃機関自動車のエネルギー効率(15~20%)と比較して、2倍程度(30%以上)と非常に高いエネルギー効率を実現しており、 燃料電池自動車は、低出力域でも高効率を維持できるのが特長である。
また、天然ガスやエタノールなど、石油以外の多様な燃料が利用可能なため、将来の石油枯渇問題にも十分に対応でき 、太陽光やバイオマスなど、クリーンで再生可能なエネルギーを利用して水素を製造することも可能。騒音に関しても、燃料電池は電気化学反応によって発電するため、エンジンのある内燃機関自動車と比べて騒音が小さい。また充填時間も短く、航続距離も長いという利点もある。
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