フランスでもしケガをしたら

今日は救急医療についてです。
昨日、息子と朝ごはんの用意をしていた時のことです。
考え事をしながら、めちゃくちゃ良く切れるナイフでパンを切っていると。
パンナイフが私の人差し指にグサっ。
🥹😩
ここまで痛いことはないというくらいの激しい痛み。
ギザギザの刃のナイフ+激しい痛み=救急病院
傷口見ずに救急病院行きを即断。
家にあったロール状の絆創膏を適当に切り、傷口を見ないまま、グルグル巻いて、とにかく傷口を塞いで止血。
指は心臓よりも高い位置にあげて傷口の下を締めます。
とにかく痛いので、急いで近所の救急病院へ。
クリスマスバカンス中のフランス、開いていることを願うのみです。
幸い、開いていて、しかも待合室には誰もおらず、すぐに診てもらえました。
年配ベテラン看護婦さん+若いしっかりメイクの看護婦さん+お腹の突き出た初老の救急医の先生のトリオ。
ベットに寝かされ、グルグル巻きの絆創膏を剥がすことからスタート。
「これはまたしっかり何重にも巻いてますね〜、取れないわよ〜。」
とベテラン看護婦さん。
「止血しないといけないと思ってもうグルグル巻きにしました。
怖いから傷口は見てません。」
先生の電話が鳴り、絆創膏を剥がすのに手間取ってることもあって先生、電話を持って一時退場。
「あんまりキツく巻くと指先に血が行かなくなっちゃう🩸」
と若い看護婦さん
「グッサリ切ってることがわかってるから、怖くて傷口見てないし、パニクってるから、早く絆創膏巻いて止血して救急病院に行くことしか考えてないし。」
と私。
若い看護婦さんの携帯が鳴って退場。
廊下から
「〇〇さんの赤ちゃんの息が止まったって!」
と叫ぶ若い看護婦さん。
「えーっ、かわいそうに😢どういうこと?」
と絆創膏を剥がしながらベテラン看護婦さんが平然と答える。
「息が止まったのはかわいそうとかいうレベルじゃないでしょ…そもそも友人に電話してる暇があったら救急車を呼べ!(私の心の声)」
「ここが上手く取れないわー。」
ベテラン看護婦さん
「ハサミで切ったらどうです?その方が早くありません?」
と私。
「取れた〜!」
頑として手で剥がしたベテラン看護婦さん推定年配65歳。
年末勤務お疲れ様です!
先生再入場。
「どれどれ、これはまたグッサリ切ってますねえ。部分麻酔して縫合!」
ベテラン看護婦を見て思い出したことが。
「看護婦さんには先月、大腸内視鏡やった時にお世話になりました、送迎用のタクシー券を用意して下さいましたよね。」
「あら、そうでした?」
「また今回もお世話になります。」
そうです、自主人間ドックの一環として、既往症があったら、すでに手遅れと言われる大腸関係の予防策として2年に1度私は大腸内視鏡検査を受診。先月この病院で検査だったのでした。
縫合準備完了。
「チクっと痛いですよ」
老若看護婦さん、声を揃えて
「息を深ーく吸って、はい深呼吸!」
若い看護婦さんは
「良かったら私の手を握って。」
と言うので言われるがままに手を握ると、グリグリと指の骨の間に針をねじり込むような感覚。ワザとやってるのかと思うほど痛くて思わず叫びます。
「大丈夫、これで指の感覚はなくなるから。」
「大腸内視鏡の方が全然楽。」
「そりゃあ、あっちは全身麻酔で寝てる間に終わっちゃうもの。
この傷縫うのに全身麻酔は出来ませんよ。」
そうです。フランスで大腸内視鏡検査は全身麻酔で行われます。
そのために当日用入院部屋を予約し、自由診療になる部分の見積りを任意保険に依頼し、当日退院には付き添いが必要とかなり用意が煩雑です。
準備段階は日本と同じですが、麻酔なし、あるいは部分麻酔で、お一人様で検査を受けて帰宅出来る日本とは大違いです。

平日16時に迎えに来てくれる人が見つからず、私は保険カバーのタクシーで帰宅し、そのタクシー券を手配してくれたのが絆創膏と格闘してくれたベテラン看護婦さんだったのでした。
さて指の縫合開始。
「先生もうひと針縫っといた方が良いのでは?」
と言うベテラン看護婦さんに答えて
「もうひと針縫っとくか」
と結局4針縫うことに。
「はい、終わりましたよ。」
意外にもテキパキとした展開。
と若い看護婦さんがまた叫ぶ。
「赤ちゃん、息を吹き返したって!」
え?まだ電話繋がってたの?
ほとんど雑談風に聞き流す医療従事者の皆さん。
人の生き死には彼らのとって日常茶飯事なのかもしれません。
「さて破傷風の予防注射はいつ打った?」
と先生。
そうです。おそらくそんなことは知りませんし、聞いたこともない!と言うフランス人がほとんどでしょうが、フランスでは新生児の時に3種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン)を打ち、その後25歳、45歳、65歳で再度打ち直すことが推奨されています。
私もたまたまかかりつけ医の待合室でワクチンカレンダーなるものを見、2016年に新生児以来2度目の3種混合ワクチンを打ってもらったのでした。
そのおかげで、今日のような不遇にあっても少なくとも破傷風にかかる危険性はありません。
「48時間は水に濡らさないように。
抜糸は10日後、それまで48時間ごとに看護婦に家に来てもらって絆創膏を替えてもらって下さい。」
「これで大丈夫なはずだけど、何かあったらまた来て下さい。」
「年始年末も救急は空いてるんですか?」
「31日以外はやってますよ。」と先生にっこり。
看護婦さんに絆創膏を変えるもらうための処方箋を出してくれました。
受付でお支払い。
88,56ユーロ💶 日本円にして1万2000円くらいです。
「任意保険には連絡した方が良いですか?」
と払い戻しについて聞くと
「通常は健康保険で全額カバーされるはずです。」
とのことでした。
フランスでは健康保険が2段階になっており、基礎部分を公的医療保険セキュリティ・ソシアルがカバーし、この保険がカバーしない部分を任意保険のミュチュエルがカバーする仕組みになっています。
医療費は国の定めた医療費と自由診療があり、自由診療は高額で公的医療保険ではカバーしない部分が大きく任意保険に入っていないと自己負担額が大きくなります。
任意保険は被保険者のニーズに合わせてカスタムメイドできるので、いざという時のために入っておくと安心です。
今回、私が行ったのは近所の私立病院だったので、支払いがありましたが、公立病院の場合、全額保険負担で実質支払いがない場合もあります。その代わり待ち時間が長かったりすることも。
絆創膏交換は、さすがに移動に不便があるわけではないので、Doctolib というアプリで開業している看護婦さんを予約。
訪問してもらうのではなく、自分で出向きます。
動けるのに看護婦さんの出張代まで、公的医療保険に負担させるのは気が引けます。
何はともあれ、治療終了。
医療機関はじめ、交通機関や軍、警察、消防など、休みなく働いている方々に年末の感謝を捧げた今日でした。
写真は縫合後の指とパンナイフ
#フランス #救急医療 #フランス任意保険 #フランス医療保険

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